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僕が「創作文章教室」を開講しているクラブツーリズムの「旅の文化カレッジ」では、ほかにもさまざまな講座が開かれているが、その女性講師陣の主催による「魔女の会」なるパーティーに招かれる。
ドレスコードは“赤”。この文化カレッジとは関係があるような、ないようなふじた画伯もなぜか招待を受けていて、ジャケットの下に赤いTシャツを着て登場。シャツの襟元から赤いアスコットタイをのぞかせたウエノと並んですわり、メインに選んだメバルのソテー桜ソースを食べながら、テーブルの向かいにいる赤い石のペンダントを光らせた美人タロット占い師と心霊話で盛り上がる。
タロットの先生の隣は、年配のご婦人のフランス語の先生で、ショッキングピンクの帽子にピンクのドレスをお召しになっている。
「あら、やだ、ピンクで来ちゃった。赤でなくちゃいけなかったわね」
とおっしゃるので、
「だいじょうぶ、消火器がありますから」
と、僕が助け舟のつもりで彼女の背後にある備え付けの赤い消火器を示すと、そんなのはまったく耳に入らなかったように、
「いいわね、これがあるもの」
と赤ワインのグラスをくるくる回して見せた。
いや、そのとおり。
やがてドレスコードなどまったく無視した、ダンガリーシャツにジーンズ姿のフォトグラファーS氏が現れて、僕らが話していたのなんか及びもつかないようなコッワイ経験談を語り、みんなの背筋を凍りつかせた。
