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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第157回 ふたつの湾をめぐる旅(後編)北近畿タンゴ鉄道〜天橋立・・・P2

挿絵  舞鶴にある四所(ししょ)駅で北近畿タンゴ鉄道を待つ。駅名看板もない無人駅で、公衆トイレとちいさな待合室がある。駅舎そのものがどことなく公衆トイレの建物に似ている。1時間に1本あるかないかのローカル線駅では、トイレの利用者のほうが多いかもしれない。
 白いタンポポがコンクリートのひび割れで咲いているホームで初夏の風に吹かれていると、やってきたのは2両編成の褪めたような青色をした気動車。
 交換駅らしく、2面2線の相対式ホームの向こう側におなじ色の単行列車が待っている。単線運行のため、この駅で列車の行き違いを行うわけだ。
 山間を走っていたディーゼルは、突然視界が開けて狭く頼りない鉄橋を渡る。車窓には、日本海に注ぐ由良川の広い河口がいっぱいに広がった。
 こんどの震災で被害を受けた三陸鉄道北リアス線に乗った時のことを思い出す(月いちエッセイ第139回『三陸〈中編〉 陸中〜古牧温泉』)。
 ローカル線はどこも経営がきびしいが、三陸鉄道は震災後数日で復旧できるところは列車を動かし、乗車賃をとらずに被災地の足となったそうだ。

 甘エビ、ホタテなどの陶板焼きとイカの刺身、タコ飯のお昼を食べ、日本三景のひとつ天橋立を観光する。
「股のぞき」をする山上の傘松公園へは、しだいに遠ざかってゆく「斜め一文字」の天橋立を眺めつつケーブルカーで登り、復路は近づいてくる天橋立を眺めつつリフトで降りてくるのが定番とか。しかし、気持ちのよい季節なので登りもリフトにした。

 股の間から天橋立を眺めると、天に架かる橋のように見える――股のぞきの元祖は小野小町という説があるが、その際、十二単の裾は……まあ、それはともかく、僕も試してみましたよ。そしたら、ほんとに、天地が逆さまに見えましたね。黄砂の霞がかかっていたせいか、よけいにそんなふうに眼に映った。

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