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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第161回 食卓日記(17)
   〜音無ゆかりとセブン・イレブンのおむすびの食べ方の巻〜

挿絵 *月*日
 自身初のサイコミステリー『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル(なりものし・おとなしゆかり・じけんふぁいる)』(文芸社刊)の宣伝ポスターを、石神井公園駅前商店街にある魚屋さんの店頭に貼ってもらうようお願いする。顔馴染みの若い店員さん・Dちゃんが快く引き受けてくれた。
 その後、魚屋さんの経営する小料理屋さんへ。ここでは、ビビッドな色合いのポスターが店内の雰囲気を壊すとおもんぱかられ、帳場にポップを置いてもらうつもりだった。にもかかわらず、板さんたちがお店に入るとすぐ正面に見えるドアにポスターを貼ってくれ、帳場にはポップと一緒にチラシも置いてもらえることになった。みなさんの人情にすっかり感激し、芝海老のかき揚げでビール、ヒラマサの刺身でゆっくりと酒を味わった。

*月*日
 副都心線に乗ったら、西早稲田で電車が止まってしまった。信号トラブルらしい。
 当分動きそうにないので、仕方なく10分ほど歩いたところにあるJR高田馬場駅に向かう。秋晴れの清々しい朝で、ブレザーにシャツで気持ちがいい。
 駅近くになり、通学する早稲田の学生らの流れに逆らって歩いていると、懐かしい建物の前を通りかかった。早稲田松竹! 高校時代によく通った二本立ての名画座である。外壁が塗り直されたばかりのようだ。いまだに現役であるのが嬉しい。
 井上真央のポスターの意志的な表情が印象的だった『八日目の蝉』がかかっていた。〔席あります〕の立看板に、思わず引きずり込まれそうになるが、この先用事があってあきらめる。
 でもイイなあ、名画座は。
 井上真央といえば、先日最終回になった朝ドラの『おひさま』が良かった。まだ放映中だった頃、東海道新幹線に乗ったら、TVクルーといっしょになって、隣の席のADらしき青年が開いていたシナリオを覗いたら、いま放送中の朝ドラ『カーネーション』だった。

 帰宅して、夕食は中華。海鮮焼きそば、豚バラの三枚肉とこの秋最初の栗を煮込んだもの、黒鯛のアラの唐揚げでビールと紹興酒。魚は、やっぱりカリッとした皮がうまい。

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