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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第167回『能登(前編)〜ローカル線運転士の孤独〜』

挿絵 ・1日目
 旅行会社のパックツアーを低く見る向きもあるが、利用してみればとても便利だ。効率よく、行きたいところに行けるし、時には個人で行けないところにも行ける。入場料や運賃など、団体料金で割安になることもある。頭割りした金額で、寺社や施設のガイドを雇える。それに、思ったほど団体旅行の煩わしさはない。
 今回は、各旅行会社の定番コースである奥能登2泊3日の旅へ。

 東京駅から乗車した長野新幹線あさまはグリーン車である。信州の上田で下車し、そこから観光バスに乗り換える。
 いまや北陸は、東京から向かうにはいちばん不便な土地だ。富山、金沢あたりに仕事で向かう場合、僕はもっぱら越後湯沢まで新幹線で行き、そこからほくほく線の特急はくたかを利用している。

 観光バスは最初の目的地、富山県高岡市にある瑞龍寺に到着する。
 回廊で法堂、禅堂など四周を結んだ佇まいは、姫路にある映画『ラストサムライ』のロケ地、書寫山圓教寺(しょしゃざん・えんぎょうじ)を思わせる。
 案内をしてくれたご住職の話では、回廊の扉が、子どもが境内で野球をしていて、破損してしまったとのこと。大工が、「こんなのしかない」と言って、似たような板で補修したそうだが、寺内のあちこちが国宝や重要文化財に指定されているのに、のんびりとしたものである。

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