まあ、こうした楽しみ方もあるわけだけれど、ガイドさんの知識が豊富なら、移動時間もさらに充実する。
たとえば始まった大雪山の紅葉ばかりでなく、万年雪についても紹介してくれる。
ジャガイモ畑を見れば、これらが大手メーカーのポテトチップスになることを教えてくれる。北海道産の米は牛丼チェーンで使用され、いつまでも柔らかいというもち米は、僕が愛好するコンビニの赤飯おむすびに採用されていること。小麦粉はカップ麺である。そう聞くと、だだっ広い畑が、急に身近なものになるのだ。
知床に行けば、林の陰にキタキツネはいないか? ヒグマはいないか? と目を皿のようにして、緊張の連続である。
水田に舞い飛ぶタンチョウヅルの親子の雄大な姿。山の斜面に草を食むエゾシカを発見した時には、心底感動したものだ。動物を見つける楽しみを教えてくれたのはガイドさんである。ツアーのパンフレットには記載されていない無料のオプションだ。
優秀なガイドさんは目に見えるすべてに意味を与え、観光地に変えてしまう。
自分の声にただ酔ったりせず、開拓史を語っている最中に、乗客のオジサンが「シラカバとダケカンバの違いはなんなの?」なんて、場をわきまえない質問を突然してきても上手に対処する。それに、決してはしゃがないので、乗客の居眠りの邪魔もしないのである。
