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/ 上野 歩

ぴー吉 第215回 『キリの理容室』(後編)

上野歩の最新お仕事小説『キリの理容室』(講談社/¥1,500+税)について、当ホームページ《上野亭かきあげ丼》の板長ことイラストレーター・ふじたかつゆき画伯とトーク形式で内容を紹介します。その(後編)です。

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上野:このトークの(前編)で、『キリの理容室』の登場人物を、ふじた画伯が『スター・ウォーズ』のキャラクターになぞらえてました。その後の裏トークで、瑛美がチューバッカだと画伯が言ってた。僕としては、瑛美は宮口精二なんですよね。

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ふじた:黒澤映画的なキャスティングです。シブいですねー。僕はうといんでよく分かりませんけども。

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上野:まさに黒澤明監督の代表作で『七人の侍』の一番強い侍を演じてるのが宮口精二です。野武士の襲撃から農民の村を守る侍グループに加わるのを一度は断るんですが、明日は出立という夜に、宿の外に立っている。カット割りも一緒です。

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ふじた:ほーう。


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上野:『キリの理容室』で、新しくオープンするサロンについて、カットチェア六つ、シャンプー台ふたつで行こうとキリが方針を伝えます。すると、相棒のアタルが、「人手がいるな。まずはシャンプー担当がひとり」と言う。さらにアタルが、「あとはスタイリストがひとりだな。こっちは新卒ってわけにはいかんぞ。俺らと同等か、それ以上に腕が立つのが欲しい」なんて言う場面は、まさに『七人の侍』のメンバー集めです。

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ふじた:執筆されてる最中に「瑛美は宮口精二だな」と思ったりするものなんですか?

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上野:これは最初から思ってましたね。もちろん、顔は宮口氏ではありませんが(笑)。役割的には『七人の侍』の久蔵の役だぞ、と。それと、理容の世界を描く以上、今はやりの1000円カットに触れないわけにはいきません。そこで、彼女を1000円カットのサロンで働く凄腕スタイリストという設定にしました。

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ふじた:もう顔も宮口氏にしか思えなくなりつつあります(笑)。実は『七人の侍』を観てないので分からないのですが、チューバッカ的に考えると三番手の頼もしい仲間という役どころなのかなあと想像しています。

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上野:まさに位置としてはそこです。

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