・取材と詩作
清中:上野さんはさまざまな職業を取材されて作品を書かれています。取材はやはり、かなり綿密にされるのですか?
上野:僕の場合、取材によって書き上がる小説の命運が決まるという感じです(笑)。反面、取材は常に楽しいものでもあります。なにしろ、その道のプロフェッショナルから興味深い話が聞けるので。
清中:本当にリアルな描写が多くて、その道のプロでも思いつかないようなアイデアや未来が書かれてあるんじゃないかなと思いました。
上野:詩作をされる際には、取材のようなことをされるのでしょうか?
清中:私の場合は、自分がその職業に実際に就いてみたり、体験するというのが多いです。 体験、というのは、異分野の仕事の現場に少し参加させてもらうという感じです。
上野:自分が体験する! 詩を書くためにですか? 詩というのは、毎日の暮らしの中で、自然と浮かんでくるものというイメージでした。
清中:普段は自分の生活の中で書いています。 いろいろな場合がありますが、去年は、Tara Jambio Art Projectという活動の中で、海洋のマイクロプラスチックを調査する船に乗せてもらいました。調査に参加したり、科学者や技術者から話を聞く中で、詩を書きました。
上野:すんごいアクティブなんで、意外です。
清中:造船の仕事をしたこともあります。 それは生活のためでもありますが、実際に自分が現場を体験することで、詩を書きたいという気持ちがあります。
上野:お仕事詩人じゃないですか!!