著者の皆さんは、確かに本の原稿を書くのはアマチュアなのですが、プロとしての仕事を持っていて、その話を聞くのは興味深いものでした。著者の方からは感謝もされて、これは天職かもしれないと感じたものです。
　一方で自分の小説については、いつかは書くんだろうなと漠然と考えていました。そうして試験が目前なのに、勉強しないで映画館に通っていた高校時代を思い出したりしました。
　ある日、事件が起こりました。「上野歩」というペンネームで本を出したいというアマチュア作家が現れたのです。担当編集者が、「うちでアドバイザーをしている現役の作家と名前が重なるから」と、ほかのペンネームにしてもらって事なきを得ました（“現役”という言葉が、またイタかった）。
　さらに、その編集者の男性に言われました、「ウエノさん、あんたが書かないからこんなことになるんだぞ」と。
　僕の中に、なにかが刺さりました。

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