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ぴー吉 上野 歩 / イ  第39回『春のはじまり』・・・P2

挿絵  韓国からとつぜん話は飛びますが、いつの間にかニッポンの春です。
 冷凍技術で1年じゅう食べられるカツオだけれど、このあいだは新玉ネギといっしょに食べることで春を感じることができた。カイワレダイコンとスライスしたニンニクとともにわっしわっしと口にはこぶ。
 塩ゆでしたムカゴにも春があった。
 この日はホタテの稚貝の酒蒸しも膳にのぼってごちそうである。
 安い紙パックの酒を徳利にうつして飲む。値のはる地酒は、たしかにおいしいけれど、酒の味自体が主張しすぎるようで、食中酒にはこっちのほうがつごうがいいのだ。それになんといっても身分相応である。
 ホタテを貝ごと蒸した鍋の残り汁は、後日、パスタのソースにつかってもいいし、小腹がすいたときに食べるうどんのだしにしてもいい。
 裏の駐車場の陽のあたらないところにいつまでも残ってた汚れた雪がいつの間にか消えていた。袴にブーツのハイカラさんというか坂本龍馬ルックというかの卒業式の女の子たちが街にたくさんあらわれて消えた。窓の外で、せまいベランダにあるスイセンがおわった。その足もとで、スミレの芽がでてくる。ちいさな素焼きの鉢のイチゴに白い花がつく。どこからかジンチョウゲのにおいがただよってくる。

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