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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第59回『食卓日記(2)』・・・P2

挿絵 *月*日

 近所の市場にクロダイとスズキがならんでいる。値段はいっしょである。
「どっちがオススメ?」
 とお店のおじさんにきいてみる。
「そりゃあ、スズキだろうね。なにしろ旬だから」
 その言葉を信じて三枚におろしてもらう。
 これまで、おいしいスズキというのを食べた記憶がない。
 白身魚だけど、においがあるし、うろこもどぶ色で見栄えが悪い。
 けれど、朝獲りだというきょうのスズキは目がきれいでいかにも生きがよさそうだった。これも関越道の出口近くにある市場という立地によるものか。長距離トラックは新鮮な魚介をまずここに落としてゆく。
 半身を昆布締めにし、半身は冷蔵する。アラは塩焼きにした。
 その晩のスズキの刺身は市場のおじさんの言葉どおりうまかった。においもしないし、身にタイにはないようなぷりっとした力強さがあった。昆布で一仕事しているからなおさら身がしまっているのだろう。冷酒がすすむ。
 翌朝は、炊きたてのご飯に残った刺身を一つまみの塩昆布、サンショウの実のつくだ煮とともにのせ、熱い出し汁をかけまわして茶漬けにする。
 茶漬けをさらさらとかっ込み、胡瓜の塩もみをぽりぽりやっていると、ベランダになじみのヒヨドリがこの秋はじめて顔を見せる。縄張りを主張しているのか、ひとしきりけたたましく鳴いていった。

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