*月*日
Iさんのお声がかりで東京・荻窪の蕎麦の名店〈本むら庵〉で会食。
このお店を訪れるのはこれで何度目だろう? 僕はすっかり気に入ってしまい、Iさんのお声がかりの会食といえばこのお店になってしまった。そうして、そのときどきにIさんとは高校の同級生だという女将さんにたいそうよくしてもらっている。
蕎麦屋で飲む酒は格別だ。四季の肴をすこしずつつまんでは、酒を酌む。
今宵は、長いものもろみ漬けと玉こんにゃくを芥子醤油で食べながら、枡酒を味わう。
きぬかつぎにちょいと塩をつけ、皮から指で押し出すように、つるりと口に入れていると、「明日、山にゆずをもぎに行ってきます」と女将さんが言う。ゆず切りがお店の品書きにあらわれると、季節が変わろうとしているのを感じる。
*月*日
汐留シオサイトをはじめて訪れる。スタバにam/pm、ヴィドフランスといった店舗のならぶ、どこの再開発ビルにいってもおなじような風景が広がっている。
まるで凶悪なマシンのように、回転ドア付近で注意を促すアナウンスが連呼されているのもおなじみである。
ここにきたお目当ては再建された旧新橋停車場である。日本最初の鉄道ターミナル新橋停車場の駅舎外観を、明治当時とおなじ位置に、可能な限り忠実に再現されている。内部は、1階の床の1部がガラス張りで、駅舎基礎石の遺構を見ることができるほか、2階は鉄道の歴史展示室になっている。僕が訪れた日には『鉄道技術と暮し、その身近な関係』という企画展を開催していた。
林立する摩天楼の足元で、旧新橋停車場は瀟洒なオブジェのようだった。
帰宅して、近所の市場でタイムサービスしている刺身4点盛り(インドまぐろ中トロ、たい、あおだい、ひらめ)とさんまの塩焼きで晩酌。
ことしの秋はさんまが豊漁でめっぽう安いし、脂がのっていてうまい。
