上野亭かきあげ丼 ホームページへ
 各店員のページへ: ふじたかつゆき ふじさわみえちー


/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第124回 山形のふうがわりな楼閣

挿絵  はじめて訪れた山形市は、整然として美しい都市だった。そしてもうひとつ、見どころのある近代建築と出会える街でもあった。

 市の中心部にある山形県郷土館 文翔館(ぶんしょうかん)は英国風のどっしりとした重厚な建築物である。
 市役所のある七日町通りを歩いていると、正面に高い時計塔を望むことができる。それが文翔館で、元は山形県庁舎だった。
 廃墟となっていたこの建物を、10年の歳月をかけ、地元職人の匠の技をもって往時の威容をよみがえらせたところに、山形県民の気概を感じる思いがする。
 シャンデリア、壁紙、カーテンなども大正初期の姿に復元されているそうだ。当時ではめずらしかったというタイル張りのトイレも公開されているという念の入れようである。
 赤レンガづくりの旧県会議事堂との渡り廊下からは、やわらかそうな草の生い茂った裏庭が見え、その向こうにはひとびとが住み暮らす住宅地がある。それは過去と現在が融合する、ほのぼのとしたよい光景だった。

ページ操作マーク つぎのページへ