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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第125回 食卓日記(11)〜新潟の納涼会とバットマンの巻〜

挿絵 *月*日
 一泊の取材旅行で新潟に出かける。
 夏休みとあってちょうどよい新幹線の指定席がとれず、スタッフとの待ち合わせ時間よりも1時間まえに到着するMaxで出かけることになった。
 大宮駅(池袋からJRをつかう僕は上越新幹線を利用するとき大宮で乗り換える)で、朝食を物色する。混み合っているベックスコーヒーショップを横眼に、売店でとりめし弁当でも買おうか、それとも……と迷う。
 けっきょく「焼きたてパン工房」という看板の惹句(じゃっく)に誘われてパスコで調理パンを買うことにする。車内でパンくずを撒き散らすことがはばかられてカリカリピロシキを選択肢からはずす。で、選んだのはベーコンとポテトをフランスパンでサンドしたのと、トルティーヤでチリソーセージをくるんだの。
 新幹線に乗って包みを開いたら、ほんとに「焼きたて」でパンがほかほかとあたたかった。飲みものは、駅構内のコンビニで買った果汁20パーセントのグレープフルーツジュース。
 2階建車両の1階席だったので、停車駅では、ホームにいるちいさな子どもがおもしろそうに半地下になっている車窓によってくる。

 先述したとおり、新潟・浦佐の駅に予定よりも1時間早く到着したので、車窓から見えた田園風景を眺めに近場をぶらぶら歩く。
 新幹線発着駅とはいえ、周囲は民家がまばらに建っているだけである。オレンジ色のシャツにサングラス、鞄ひとつぶら下げたサンダル履きの僕は不審者そのもので、家に入ろうとしていたおばあちゃんがふたたび外に出てきて、いぶかしげにこちらを見ていた。

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