ジェットフォイル。米ボーイング社によって開発された水中翼船である。これだと、新潟港と佐渡の両津港間が、フェリーで2時間20分かかるところが、1時間で到着する。
そのかわり、ジェット機といっしょで乗船すると基本的に椅子に座って安全ベルトを締めて過ごすことになるのだけれど。
波もなく快適な船旅だった。うつらうつらしている間に両津港に到着。午後3時ちょうど、いよいよ佐渡に上陸した。
だけどあんまり島という感じがしない。沖縄島に次いでわが国2番めに大きな島ともなるとそんなものである。
タクシーに乗車し、宿へ。加茂湖という佐渡の、そして新潟県内最大の湖の岸辺に建つ旅館である。
部屋の窓のすぐ下まで湖がせまっている。
汽水湖で、カキの養殖用のいかだがそこここに浮かんでいる。ぽちゃんと大きなボラが湖面で跳ねた。
部屋に荷物を置いて、見学と晩酌用の酒の仕入れをかねて天領盃(てんりょうはい)という酒蔵を訪ねる。
コンピュータ制御による酒づくりを行い、イタリア製のラベラーで酒瓶にラベルを貼る鄙(ひな)にはまれな酒蔵である。もちろん要所要所にひとの手が入る。
この地は、金北山(きんぽくさん)の山陰で雪が多い。雪が多いから水がいいという。
水がよければ酒がいい、というわけで、あれこれきき酒をさせてもらい、四合瓶の大吟醸を1本、辛口の本醸造を1本買って宿にもどる。

湖を見渡す露天風呂にのんびりと浸かり、部屋で夕食。さきほど買ってきた辛口のほうの酒を飲みつつ、佐渡の海の幸を味わう。ご飯は、佐渡産のコシヒカリで、これがまたうまい。デザートはおけさ柿のシャーベットである。
この日は、両津の七夕と川開きをかねた夏祭りの日で、夜は旅館のすぐ近くを民謡流しが通った。地元の職場とか愛好会のひとびとがそろいの浴衣で、佐渡おけさなんかを踊りながら町なかをゆく。
はっきりいって、チーム内の呼吸があんまり合っていなくて踊りがばらばらである。それでも詩情を感じるのは旅愁というものだろう。
夜店(ヤンキーみたいな女子のテキヤさんがやたら多い)をのぞきつつ、旅館にもどって、もうひと風呂浴び、東京から持参したカティーサークをオン・ザ・ロックですする。
金北山の上にある月が、湖面に映って揺らいでいた。
