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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第153回 九州温泉紀行(後編)阿蘇〜黒川温泉

挿絵 ・2日め
 朝は五時に起きた。
 温泉に行って、ひげを剃(あた)り、露天風呂。
 部屋にもどって、温泉旅行に出かけた折のならわしでウイスキーの薄い水割りの朝酒を飲(や)る。

 朝食は、味噌汁の代わりに団子汁(地元では“だご汁”と発音するそう)が出る。ほうとうのような小麦の幅広の平打ちめんをたくさんの野菜と肉の具といっしょに味噌仕立ての汁で食べる。
 食事後、8時と早めの出発で由布院を後にし、またゆったりタイプの観光バスであちこち見物しながら黒川温泉を目指す。

 日本百名道のやまなみハイウェイはあいにくの霧だったが、峠を越えて熊本県に入ると嘘のように青空が広がった。
 バスの車窓から眺める冬枯れの阿蘇の原野は、雄大で趣きある風景だった。
 枯れ草とおなじ色をした赤牛が1頭、なだらかな丘陵の彼方を歩いてゆく。それは北海道ともまたちがった味わいの、そう、アメリカ映画で見た風景に似ていた。
 大観峰の天然の展望台で、阿蘇山を眺望する。あいにく阿蘇五岳(あそごがく)は白くかすんでしまっているが、肉眼では確認できない中岳の噴煙もサングラスをかけたら確認できた。さすがレイバンである。
 阿蘇周辺をとり囲む外輪山がすごい迫力で、こちらは肉眼でもくっきり見える。そして、カルデラの底に広がる集落の、人々の暮らしに思いを馳せる。

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