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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第153回 九州温泉紀行(後編)阿蘇〜黒川温泉・・・P2

挿絵  さらにバスは進み、宮崎県は高千穂町に近づくと急峻な山並へと変貌してくる。それは、ここがたしかに神話の里であることを実感させられる風景だった。
 町なかに入ると、家々の玄関に注連縄(しめなわ)があるのを見つける。一年じゅう飾られているのだという。それは、神さまに、いつでも家に入ってきてくださいという印なのだとか。この町には、常に神が宿っているのだ。
 注連縄は大晦日に新しいのと替えるそうだから、もう間もなくということになる。

 名勝、高千穂峡を散策し、昼食。青竹の筒を囲炉裏で燗したかっぽ酒を飲む。
 その後は、高千穂神社で伝統芸能の夜神楽を見せてもらう。天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れた天岩戸(あまのいわと)の前で、アメノウズメが舞う場と、アメノタヂカラオが岩戸を投げ飛ばす場が演じられる。
 イザナギ、イザナミによる酒造りの舞では、最前列で観ていた僕はイザナミに言い寄られ、それに嫉妬したイザナギにおでこをはたかれるという、おめでたい目にあった。

 黒川温泉には午後3時半頃の早めの到着。
 この温泉地は、長野県の野沢温泉にならったという湯めぐりが売りものである。
 野沢温泉には、小学校の頃に親類、家族と大勢で宿泊したことがある。その時には、伯母が教えている華道教室の若い女のひとが数人いっしょにきていて、いつもの旅行よりもとってもたのしかった思い出がある。

 さて、黒川温泉では入湯手形ひとつで、好きな温泉宿の露天風呂三つをまわることができる。
 浴衣の上に丹前を重ね、羽織を着て出かける。途中、寒さに備えて足袋形ソックスと使い捨てカイロを携えている。
 まずは、美人の湯と称するいこい旅館。女性専用の立ち湯が名物のようだが、混浴(とはいっても女性客は入ってこないので実際は男湯)は、岩場と木々に囲まれた秘湯ムードがただよう。
 つづいて、黒川温泉の名前を全国区にまで高めた新明館のご主人手彫りの洞窟風呂へ。こちらも、長い洞窟風呂のほうは女性専用で、混浴(同様に実質は男湯)は、穴風呂と通路でつながる露店の岩戸風呂。
 穴風呂は、洞窟風呂よりも長さは短いが、やはりご主人の手彫りである。たしかに労作だとは思うが、快適かといえば、閉所恐怖症の気がある僕としては、う〜む……である。
 岩戸風呂に行く時は、田の原川の対岸の通りから丸見えになるからと言われていたので、腰にバスタオルを巻いて移動する。が、なんのことはない、岩戸風呂自体が対岸から丸見えだった。

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