熊川宿を散策する。若狭と京都を結ぶ物流ルート、鯖街道の宿場町で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
かつて訪ねたことのあるおなじく重伝建地区選定の長野県の妻籠(つまご)宿や、その近くにある坂の宿場馬籠(まごめ)とはちがって、まだまだ観光地化されておらず、住み暮らす人々の体温が感じられる。観光客もまばらである。
20分ほどで通り過ぎてしまう町並みは、ことさらなにもないのがいい。ただ、田舎の風に吹かれ、降りてくる山の香に包まれているだけで、体内の空気が入れ替わり、自分が更新されてゆくのがわかる。
軒先に原木栽培のシイタケを並べている家があって、干したどんこを1袋もらおうと思うがひとがいない。
「ごめんください」と玄関から声をかけたら、ちいさな男の子(小学校低学年くらい)が姿を現して、「おばあちゃん呼んでくるんで、待っとってください」と言い残し、すっ飛んでいった。
間もなく、数件先で草むしりをしていたという祖母上を連れてもどってきた。支払いをすると、「おおきに」と手製の梅カツオをおまけしてくれた。
すこし行くと、惣菜を並べているお宅があった。そのなかに川エビと豆を煮たのを見つけ、それがさっきの駅弁にも入っていたのに気がついた。店先にいたおばちゃんにきいたら、このあたりのおかずということだ。
