上野亭かきあげ丼 ホームページへ
上野歩にお便りをおよせください!  各店員のページへ: ふじたかつゆき ふじさわみえ


/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第164回『食卓日記(18)〜『RAILWAYS2』と七草粥の巻〜』

*月*日
 映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』を観る。
 いわば三浦友和と余貴美子の夫婦ゲンカの話なわけだけれど、とてもよくできた映画になった。それだけに、今回の舞台となる富山地方鉄道の車両が落雷で止まる場面で、車内にいる病人の処置に看護師の余が山の斜面を必死に這い登るのに、先に到着した救急隊員が手をこまねいているだけというのはいかがなものか? ここは、隊員がひとりくらい泥まみれになって崖上を目指して(少しコミカルな演技でもいい)から、後に涙という演出でも緊張感は途切れないと思うのだが……
 三浦演じる定年退職する運転士のラストランは感動的。西武鉄道の5000系レッドアローを仕立て直したローカル電車を、地元の子どもたちが追いかけるシーンを見ただけで涙してしまった。いつの時代も、列車は子どもの憧れなのだ。
 5000系は、僕が西武池袋沿線に引っ越したばかりの頃まだ走っていて(もちろん乗った)、懐かしかった。
 それにしても、前作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の中井貴一も、今回の三浦も、帽子をとっても乱れない髪形が運転士らしい。
 帰宅して夕食は、たっぷりの野菜と豚の薄切り肉を蒸したタジン鍋、ポテトサラダ、立ち寄った市場で見つけたメバチの中トロ、赤貝ヒモでビールといつも冷蔵庫で冷やしている菊水の辛口。お酒の〆括りに、刺身を酢飯と一緒に食べる。

*月*日
 毎年恒例だが、おせちの残りを細かく刻んで酢飯と混ぜ、錦糸卵を飾って五目寿司にする。
 おせちは、ニンジン、ゴボウ、コンニャク、レンコン、シイタケなどを、それぞれ個別に丁寧に煮て、味付けしているので、これを合わせるとおいしいお寿司の具になるのである。
 五目寿司が食膳に出ると、ああ、お正月が終わったなと思う。

挿絵  今夜も寒い。夕餉は、鶏の手羽先の焼いたのに、七味唐辛子をたっぷりかけて喰らいつく。それと、岡山の知人からの到来物のママカリの酢漬けで焼酎。
 仕上げに、五目寿司とナメコ汁。ナメコは、最近気に入っている、大きめの足付きのもの。これだと、石突きがカットされたパック入りの小粒のものより香味がよいのはもちろんのこと、コリコリトゥルンとした食感をいっそうたのしむことができる。

ページ操作マーク つぎのページへ