地元の旅行会社が、日帰りバスツアーで福島応援コースを組んだ。
東京観光財団が「被災地応援ツアー」に指定していて、旅行代金が割り引きされている。確かにお得なのだが、そうでなくとも、ここはぜひ一肌脱ぎたいものではないか。
で、チラシを見て、さっそく妻と2人で申し込んだ。
あれだけすぐに申し込んだのだから、観光バスの座席は前のほうだろうナと思っていたら、あに図らんや。当日、集合場所に行ってみると、なんと後ろから2列目だった。
最初のほうどころか、あと少し申し込む時間が遅かったら、満員札止めになっていたところである。
梅雨の晴れ間、まず到着したのは福島市内の観光農園だった。
ここでサクランボ狩りをする。
日本のサクランボのシェアの70パーセントは、ご存じ山形県と圧倒的。2位は青森、3位は山梨……なんだ、福島が出てこないじゃないか。
でも、順位だけではないのである。なんでもそうではないですか、ねえ。
福島のサクランボは、ほんとに甘くておいしかった。
以前、山形盆地の寒河江(さがえ)というサクランボの産地に行って、そこの数ある観光農園の中で、「超VIP」と謳う(なにしろ入り口に造花だけどバラのアーチまでかかっていた)ハウスで、サトウニシキを食べたけど、それと比べても福島のサクランボは遜色なかったね。
ただ甘いだけじゃなくて、サクランボらしいサクランボの味がした。
オマケにすいてるもんだから、どの枝にも実が鈴なり。
赤い実だけじゃなく、黒いの、薄ピンクの、より取り見取りである。
両手にサクランボの房を持って、それを交互に口に含みつつ、種を吐き出しながら次の枝へと移る。
サクランボだけでお腹をいっぱいにするなんて、ひどくぜいたくな気分だ。
直前にすごい台風がきて、被害を心配したのだけれど、こちらは風台風ではなく雨台風だったようで、影響はあまりなかったそうだ。「夜中まで起きてたんだけど、よかった。風が強いとハウスごと持ってかれちゃうからね」と農園の方が言っていた。