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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第178回『日帰りバスツアー(12)
   〜富士登山電車と箱根駅伝のマークのような日没編〜』

挿絵  大月から乗車した富士登山電車に揺られながら、僕はすこぶるご機嫌であった。それは、先ほど立ち寄った笹一酒造の酒蔵見学のあとで試飲した大吟醸で、ほろ酔い気分だったせいばかりではもちろんない。
 工業デザイナー、水戸岡鋭治氏の手による車両は想像以上に快適であり、かつ旅の楽しさを演出してくれた。
 まず富士急行の前身である富士山麓電気鉄道開業時の車両、モ1号の錆朱色(さびしゅいろ)に塗装された外観がイイ。シックでアンティークで実によい色である。
 それでいて内装はモダンだ。レトロモダンといったところか。暖簾で仕切られた「赤富士」「青富士」と称する2両編成からなり、それぞれ木を基調(もちろん防火のため、木にカモフラージュした素材が使われていると思われるが)にデザインされている。「赤富士」は、富士山や地域の関係書籍を集めたライブラリーを設置した落ち着いた雰囲気。「青富士」には、ベビーサークルや車内販売品の並ぶショーケースがある。いずれもソファや展望席などが随所に配置され、まるで動く居間とでもいった快適性だ。
 さらに富士山が雄大な姿を見せる観光ポイントに近づくと、アテンダントの女性がアナウンスしてくれるほか、用意した富士山と富士登山電車の描かれたプレートとともに記念写真も撮ってくれる(ウエノも写してもらいました)。

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