車窓の向こうに、よさそうな老人ホームを見つける。「将来は……」などと考えるが、生まれてこの方ずっと23区内で生きてきたオノレのこと、たちまちホームシックになるに違いないと思い直した。そう、フィリップ・マーロウではないが、「やはり汚れた大都会が好きなのだ」。けれど今日は、せせらぎの輝きや青く澄んだ空で目を洗おう。
車窓から三つ峠が見えた。我が家では三つ峠の天然ミネラルウォーターを取り寄せて飲んでいる。ここの水か、と思う。
スコットランドの酒を甲州の水で割って飲む。今宵この風景を思い出せば、水割りの味もまた格別だろう。
さて、今回の日帰りバスツアーは、2月23日=「富士山の日」にちなんだ「富士山満喫」のコースである。
富士登山電車を河口湖駅で下車。今度は駅前に迎えにきてくれた観光バスに乗って、昼ごはんの会場へと向かう。
旅館、巻狩さんにて、サーロインステーキの定食である。ぶ厚いステーキを炉辺を切った中にある熱した溶岩プレートで焼いて食べる。お肉のほかは、付け合わせに焼く玉ネギ、モヤシ、人参などのやさいのほかはご飯に香の物、お味噌汁というシンプルな内容ながら満足度は充分。なにしろお肉がおいしいし、漬けだれも申し分なし(漬けだれがやたら甘かったりして、おいしくないところも多い)。ただ、あとで気がついたのだが、お塩を少しもらって、お肉そのものの味をもっと堪能すればよかった。
