池田湖の向こうに開聞岳(かいもんだけ)を望む土産物屋さんには、かつて一世を風靡したイッシーの正体だといわれる大うなぎが飼われている。イッシーとは、池田湖で目撃された謎の巨大生物だ。
開聞岳は、もとは平たかった山頂に、噴火による溶岩が盛り上がって現在の二段式の山容になったということだ。いわゆるコニーデ形である。どこかが凸すれば、どこかが凹むというわけで、その凹んだところが池田湖なのだという。
ということは、富士山は、富士五湖を凹ませたことで、あのような威容をつくり上げたということか。
さて、今夜の宿は、開聞岳近くにある指宿(いぶすき)温泉である。
まずは名物の砂蒸し風呂を体験する。湯気を上げている砂の上に寝転ぶと、係の人が砂をかけてくれる。これがけっこう熱い。反面、地面に触れている部分は熱いのだが、その分、お腹の上の砂が熱を失うのを感じる。
それでもなにしろ砂に埋もれ、じっとしていなくてはならないところに“蒸される感”があって、顔の汗をかく。これを拭いたくても拭えない、そんな憤りがまた汗を呼ぶ……
夕食は黒豚のしゃぶしゃぶで、お酒はもちろん焼酎。幻といわれる森伊蔵を試してみたが、ふーむ、確かに優しい味わいであるものの、あまりに名前のみが大きくなったということか。
食後はシングルモルトウィスキーを飲みながら、年賀状を書く。温泉宿でのんびりと年賀状に一言をしたためるのはよいものですよ。
