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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第189回 名台詞の研究(2)・・・P2

挿絵

 主役の大石先生(小柄なので子どもたちから“小石先生”とあだ名される)を演じるのは、木下映画常連の高峰秀子である。しかし、CGがない時代の映画というのはスゴイ。二百十日の台風の翌朝の場面、自転車を引いて埠頭を歩く高峰は、頭から本物の大波をかぶっている。

 子役デビューし、勤労少女であり続けた高峰は、教師という職業を持つ自立した女性像が似合っている。そのヒロインにしてからが、自らの無力さに手をこまぬくのが、戦前の日本の圧倒的な貧しさである。女の子は就学をあきらめ、男の子はただ兵隊になろうとする。『将来への希望』と出題された綴り方が書けないとうなだれる少女に向かって大石先生が言う、「泣きたくなったらいつでも先生の所にいらっしゃい。先生が一緒に泣いてあげる」

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