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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第196回 大人の福井周遊ツアー

挿絵

 E7系はシックなクルマだった。乗ったのは普通車で、シートピッチは標準仕様のはずなのに、和をイメージさせる内装が落ち着いているせいか、実際以上にゆったりと感じられる。
 来年延伸開業する北陸新幹線用として先行投入されたこの新型車両に乗ることも今回2泊3日のツアー旅行に参加した大きな目的だった。
 しかしツアー観光の場合、旅行会社は一駅でも鉄道での旅程を短くし、経費を抑えようとする。だから、長野の上田駅で早々に新幹線を下車し、あとは外注した観光バスでひたすら目的地に向かうことになる。
 文句を言っているのではない。これまでもさんざ参加してきて、ツアー旅行の長短を知り抜いて、なお利用しているわけだから。

 バスの車窓から日本海と立山連峰を愛でつつ、妻は「鮭はらこ弁当」を、僕は「味噌カツ・ひつまぶし風弁当」を味わう。あらかじめ車中で自由昼食となることを伝えられていたので、出発前に東京駅で買い求めた駅弁である。今の東京駅構内では、全国あちこちの駅弁が選べる。
 広々とした田園地帯に屋敷林に囲まれた住居が散在している。散居村(さんきょそん)と呼ばれる。富山の砺波(となみ)平野の特徴的な風景で、仕事での出張の際にもほくほく線の特急はくたかから眺めては小さな旅情のよすがとしたものだった。

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