初日の観光地は東尋坊(とうじんぼう)1ヶ所だけ。
東尋坊は著名な景勝地であるけれど(湘南育ちの妻は、店先で浜焼きする土産物屋が立ち並ぶアプローチを江の島に似ていると言い張っていた)、今回のツアーは旅行会社も初めて選択したという観光地が多くを占めている。僕も琵琶湖を回った際に福井県の一部を訪ねたが、同県だけにフォーカスしたコースというのは珍しい。
それだけに、今回はヘビーユーザーといった参加者が多いようだ。お互いに適度な距離を保ちつつも軽く言葉を交わし合ったりして気分がよい。
2日目最初の見学地は、一乗谷という細長い谷あいに築かれた戦国大名朝倉氏の遺跡をガイドの方とともに廻った。復元された当時の町並みがゆかしい。
お昼は越前そばのお店に案内される。オプションで旅行会社が用意する定食をあらかじめ頼む手もあるが、我々夫婦はその場の気分で注文を決めたかった。僕はざるそば、妻はワンランク上の石うす挽きおろしそば、それと焼きサバ鮨を一人前とって分け合って食べる。
さらにそば屋に併設された売店で、試食の粒あんのうまさに魅了された妻が、ぼた餅最中なるものを買い食いする暴挙に出た。まさに、ぼた餅を最中の皮種でサンドしたウインピーが両手でつかんだハンバーガー大の物体である。通りかかった若い女の子が「アタシも食べたい。いや、よそう」という曖昧な笑みを浮かべつつ、しかし、妻がパクつくぼた餅最中から魅入られたように目を離せないでいるのが分かった。
午後は地元のバスガイドさんも訪れたことがなかったという足羽川渓谷に掛かるかずら橋という吊り橋。橋床の木の隙間から見下ろす渓流に、気の弱い僕は足がすくんだ。妻はがんがん渡っていたけど。
この日の最後は“天空の城”といわれる越前大野城。我々夫婦も以前訪れたことがある兵庫県の竹田城で火が付いたのか、近頃ちょっとした“天空の城”ブームである。
山頂にそびえる天守閣目指して登り、さらに鉄筋コンクリートで推定再建された天守閣内の階段を登って、すっかり汗をかいた。
旅慣れたツアー客の皆さんは集散の動きがよい。決められた時間の5分前にはバスに乗車し出発するから、昼食場所も含めて4ヶ所の立ち寄り場所を各5分間短縮して、宿には予定よりも20分早く戻ることができた。
のんびりと露天の温泉に浸かる。見上げると空の高いところをトンボが飛んでいた。今年もあと1/3である。
