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/ 上野 歩

ぴー吉 第214回 『キリの理容室』(前編)

5月22日に刊行する上野歩著『キリの理容室』(講談社/¥1,500+税)について、当ホームページ《上野亭かきあげ丼》の板長ことイラストレーター・ふじたかつゆき画伯にプルーフを読んでもらい、トーク形式で内容を紹介していきたいと思います。
まずは(前編)です。

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ふじた:「あとがき」に理容店のオーナーから聞いた「美容師はアイドル、理容師は演歌歌手」という言葉が本作を執筆なさるきっかけとあります。これは、上野さんが普段通っている理容店のオーナーさんということでしょうか?

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上野:毎夏、神奈川県内の優れた商品やビジネスモデルを表彰するイベントがあります。僕は、その受賞企業を取材して原稿にまとめる仕事を受けています。「あとがき」に社名のある株式会社玄という平塚に本店のある理容店の社長が、湘南のショッピングセンターにオープンさせたレディースシェービングのお店で、2012年に奨励賞を受賞されました。それで僕は取材したんですが、その時に聞いた言葉で、深く心に残りました。

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ふじた:小説にしようとお考えになったのは、いつ頃のことですか?

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上野:2015年に「昔ながらの理容室でない次世代の理容室」というコンセプトで同じく奨励賞を受賞した、橋本にあるHair Salon SKYを取材しました。オーナーは橋本駅を挟んで美容室も出店されているのですが、この方に会って、ぼんやりしていた構想が形を成し始めた感じでしょうか。

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ふじた:なるほど。では、本作の具体的な構想に入ってから完成まで3年くらいかかっていると。この年月は、上野さん的には普通なんでしょうか? あるいは苦労なさったとか?

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上野:擱筆(かくひつ)までに3年かけたというのは長いほうですね。その間、『墨田区吾嬬町発ブラックホール行き』と『探偵太宰治』を刊行し、「小説すばる」誌上で『運動会屋』という連作短編を断続的に掲載していて、『キリの理容室』だけにかかわっていたわけではないのですが、時間をかけたからこそ生まれた部分はあると思います。

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