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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第36回『味噌カツ復活』

 最近うまいと思えるようになったものに味噌カツがある。
 名古屋から中央本線に1時間ほど乗った恵那(えな)という町で食べた味噌カツで 味噌カツを見なおした。
 駅に12時に着いて、お昼を食べる店をうろうろさがしたあげく、
――ま、ココでイっか……。
 と、かなりひなびたビジネスホテルの、もんのすごくひなびたコーヒーレストランに入った。
 昼どきなのに客が4人しかいなくて、新聞やマンガ雑誌を眺めながら、それぞれが注文したものをかったるそうに摂取している。
 天井から吹きこむ温風ヒーターの、もわりとした空気のなかで、やる気のなさそうな、厚化粧の、中年のウェイトレスに、僕はいささか投げやりに、その店でいちばん料金の安い日替わりランチを、メニューも確認せずに頼んだ。
 汚れたガラス窓からさしつづける冬のあわい陽光のなかで待つことしばし、眼のまえにはこばれてきたのが味噌カツ定食だったのである。
――やっちまった!
 と思ったね。
 名古屋文化圏で、不用意に“日替わり”なんぞ注文するからコイツが出てくるのだ。
 味噌カツは、20代のなかばに、勤めてた会社の日帰り出張で名古屋に行ったとき食べて、ひどくがっかりしたおぼえがある。

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