レッサーパンダとは、いっしょに遊ぶことができた。
家内がしゃがむと、ガラスの向こうのレッサーパンダが、まるで近所の犬か猫のような親しさで歩みよってきて、彼女の黒いウールのミトンに前足を差し出すようにじゃれついたのだ。
ガラスごしにではあったけれど、家内はレッサーパンダの肉球と手をふれあわせていた。 真冬のひと気のない動物園では、不思議なことが起こる。
動物園をあとにして、ひとつ隣駅の高幡不動尊にお参りする。 じつはことしが前厄の上野。厄除けのほのほうちわを授かりに行ったのである。 以前、日野の町を歩いていたときに、ヒイラギの小枝にさしたイワシの頭といっしょに玄関にはられているうちわを見た。〔厄除〕〔高幡不動尊〕という文字と赤い炎が描かれたうちわである。 おなじうちわを戸口に掲げている家をいくつも見た。 その風情がなんともいいのである。 僕としては、厄除のお守りとしてだけでなく、デザイン(というのもなんだけど)も気に入って、うちわがほしかった。 ほのほうちわは、元旦から節分のあいだ授与されることがわかり、厄払いに高幡不動尊にうかがったしだいである。
