*月*日
家内が中華饅頭をつくるというので、いま自宅にあるものよりすこし大きいセイロと鍋を買うために横浜中華街に出かける。
池袋から直通の湘南新宿ラインが開通したので、練馬の自宅から横浜に行くのがとても便利になった。
石川町で下り、絢爛たる装飾がほどこされた門をいくつかくぐって中華街に入る。通りのあちこちに甘栗屋が出ていて、歩いていると、ほかほかと温かいのを味見させてくれる。それで、片手がいつの間にか栗の殻でいっぱいになる。 ほんとうのところセイロと鍋は口実で、久し振りに本格的な中華料理を堪能しにきたのだ。
きょうは、関帝廟(かんていびょう)通りの天長門そばにある、以前からいちど入ってみたいと思っていたお店にする。
砂肝の薄切り、蒸し鶏、焼豚の冷菜でまずビール。熱々のフカヒレスープのこくのある味わい、エビチリ、酢豚といった定番も申しぶんなく、またボリュームたっぷりである。鶏肉とマコモタケ、レンコン、フクロ茸、赤と緑のピーマン、ギンナンの炒めものに紹興酒がはかどった。
最後にテーブルにあらわれた名物のスープ炒飯は圧巻だった。大皿になみなみと満たされた高菜のとろみのあるスープ、中央にこんもりとまるく盛りつけられた炒飯。そのたたずまいは、いささか乱暴ですらあった。どこか円谷プロがつくった大海に浮かぶ孤島のセットのようでもある。レッドキングかなにかが棲息しているあれだ。
すでに数皿の料理を食べていて、これはもう入らないと思った。ところが、小皿にとって、ぱらりとした炒飯に、そろりそろりとスープをからめつつ口に運ぶと、これがいくらでもお腹におさまってしまうのだ。ちょうどお酒の締めにさらさらと掻っ込むお茶漬けといった風情である。
デザートのタピオカまで味わい尽くし、さすがにお腹がはちきれんばかりになった。しかし、こんなに食べても胸焼けするような感じはなく、ひたすらな満足感だけがのこる。
それにしても、帰りに市場通りで買ったセイロと中華鍋の重かったこと。にもかかわらず善隣門を抜けたところにある製麺所で太めの中華麺と細い縮れ麺、スープを数種類買ってさらに荷物を増やしてしまった。
