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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第63回『江戸川乱歩と『ギャング・オブ・ニューヨーク』と春まだ浅い東京ドーム』・・・P2

挿絵  もうご覧になられたと思うので『ギャング・オブ・ニューヨーク』について書く。ストーリーにふれる部分もあるので、これからご覧になる方はご注意いただきたい。
 近ごろは面白くなる映画もつまらなくしてしまうマーティン・スコセッシなので、すこし心配していたのだけれど、今回は大まともに撮ってた。ただし、前半3分の2までは。
 レオナルド・ディカプリオが暗殺に失敗してからの残り3分の1のテンポが急に忙しくなって、まるでちがう映画を見てるみたいだった。あるいは上映時間に制限があってこういう編集になったのかもしれない。いずれにせよ終盤に近づくにしたがって「一筋縄では行きたくない」という、あいかわらずのスコセッシ色が濃厚になる。
 あの、蒸気の噴煙の向こうからイエローキャブがゆっくりと姿をあらわす『タクシードライバー』以来、スコセッシ映画のオープニングは見事だけれど、今回も移民ギャングの隠れ家となるビール醸造所内の重厚なセットとそこにひしめく大群衆をたっぷりと見せてから、屋外の薄く雪の降り積もった石畳の街頭で対立するネイティブ・ギャングとの決闘場面へと連続する緊張感が素晴らしい。
 しかし、なによりもダニエル・デイ=ルイスである。その義眼が暗い冬空を映すアップからすっかり魅了されてしまった。
 セミ・リタイアし靴職人修行をしていたデイ=ルイスだが、街のボスである肉屋の役づくりのためにやっぱり肉屋に弟子入り。残虐さとユーモアに加え、趣味人的な雰囲気をただよわせて深く印象に残る。
 ところで今回、はじめてシネコンというのを利用した。あらかじめ買っておいた前売り券を指定席券にかえたりするシステムを知らなくて、すこし途惑ったけれど、快適でよいものだ。それにしても、練馬の畑のなかにこんなお洒落なスポットができたんだなあ。映画の帰りに無人スタンドで新鮮な野菜が買えたりするのも便利だ。足もとからコンクリートの冷たさがしんしんと伝わってくるような池袋のロサ会館で、客もまばらな朝の1回目を見るのも好きだけど。
 というわけで、その日の夕食は畑で買った立派なブロッコリーをつかってチーズフォンデュにする。

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