9回にはヤンキースのブルペンで、救援投手とまたまたガルシアを交えてのグラウンドキーパーとの小競り合いがあったりと、まさに因縁の1戦を4−3でヤンキースが辛くも制するのを確認してから横浜中華街に出かける。
僕はここが大好きで、年に1度か2度だけれど、やってきては料理と街の雰囲気をたのしんでいる。
ひいきのお店はあるけれど、その都度、なるべく新しいお店に入って、新しい味に出会いたいと思っている。この日は、中山路と香港路のあいだの小路にある焼きそばが名物のお店にする。
そうしょっちゅう来られるわけではないので、中華街のお店に入ったときにはコース料理を頼むようにしている。まず、中華街のラベルのついたキリンビールを飲みながら蒸し鶏、焼き豚、ピータンの冷菜をつまむ。クラゲがこりこりしていておいしかった。カレー味がほのかにきいた鶏の唐揚げ、春巻きでビールがすすむ。
紹興酒を燗してもらって、エビチリ、豚バラ肉とチンゲンサイの炒め、フカヒレスープなどつぎつぎにやってくる料理と格闘する。カニのあしと野菜のあんかけ炒めが出て、いまがシーズンの上海ガニかと、お店のひとにきくと、首をふってワタリガニだと言う。そうして、ほかのテーブルを指さした。なるほど、初老の男性ふたりがテーブルをはさんでセイロで蒸した上海ガニを手なれた感じで食べている。それは季節を感じさせるとてもよい風景だった。
僕らの席にも、追加するかときかれるが、さすがにお腹がいっぱいである。コースの最後には名物の焼きそばがひかえているのだ。
入れ込みの座敷のすみのテーブルで食事をしているのだけれど、この焼きそばだけを食べにくるお客も多くて、まわりの席の回転がはやい。香ばしく焼き色のついた、かりかりの麺がドーム球場の屋根のようにお皿いっぱいに円形にのっていて、それをくずしていくとなかからとろりとした熱々の野菜あんがあらわれるというもの。たしかにおいしいけれど、このインパクトのある形状でなければ、これほど話題にはならないのではないかと思った。以前に入ったことのあるお店ではスープチャーハンが名物であったけれど(第62回『食卓日記(3)』参照)、どの店も呼びものとなる1品をつくり出そうと工夫を凝らしているのがうかがえる。
きょうのお店は、味つけが全般的に甘めだったので、「広東料理ですか?」ときいてみると、「中華料理です」というこたえが返ってきた。
