直前にあった首位中日ドラゴンズとの直接対決で辛くもスウィープを逃れ、自力V消滅の危機を徳俵(とくだわら)で踏ん張っているジャイアンツ。片やベイスターズでは“大魔神”佐々木が引退をほのめかす発言の後これを撤回してファームで調整中という、なんとなく重石が乗っかってるようなカードとなってしまった。おまけにジャイアンツのスカウト活動における不正で渡辺オーナーが辞任する騒動があったり、もっといえばチームの合併問題で球界全体がごたごたの最中にあったり……。
それでも、今夜ここでのひと盛(さか)りである。なにしろ夏休みで、東京ドームで、ナイター観戦なのだ。これ以上の幸福があろうかというものだ。
きょうの席はバックネット後方2階席の最上段。まさにドームの天井に手が届きそうなところだった。連日灼熱の太陽に照らしつづけられた天井から熱気が降りてきて、頂上席については場内の夏期設定温度である28度の環境外である。で、さっそく生ビール。
夏休み期間中は15時半開場になるので、ジャイアンツの打撃練習が30分だけ観られる。持参してきた鶏の唐揚げと一口おむすび(鮭、明太子、お茶とゴマ塩の3種)の弁当を広げ、生ビールを飲みつつ、かーんという乾いた打球音を耳にしていると、いつまでもいつまでもこの時間が永遠につづけばいいのにと思えてくる。
僕もきょうはアテネオリンピックの開会式の録画中継を観てから出かけてきたのだけれど、五輪代表チームに選出されて高橋由伸が不在である。それでも、まったく遜色のないジャイアンツ打線なのだが、この日はなにより先発の桑田だった。走者を出しても点を取られない「詫(わ)び」「寂(さび)」の投球術。フィールディングも素晴らしかった。また、真上から観る席ではそれがひじょうによくわかるのだ。
テレビ中継では、どうしても投手対打者の果し合いのような構図で観てしまうところが、野手の動きのシャープさ優雅さを味わい、ゲーム全体を堪能できた。
さて、その桑田が一塁ベースカバーに入った際に右足首を捻挫して降板。以降、ゲームもこわれてしまった。この夜、ドラゴンズは6点差をひっくり返してヤクルトスワローズに勝利。オーロラビジョンに映し出される他球場の結果を観てドーム全体に大きなため息が広がった。あるいは今シーズンの結果を苦々しくふり返る日がきたときには、この晩の明暗がひつとの分岐点となるのではないだろうか。
