翌日、マンションの隣室のジャズピアニスト宅から野菜のおすそ分けがある(しかし、作家とピアニストが隣同士に住んでるなんて、言葉にするだけだとソーホーのロフトみたいである)。
トマト、じゃがいも、ナス、みょうが、トウモロコシ。青森の親類から送られたという新鮮な野菜で、その晩はトウモロコシを茹で、みょうがは、鰻のかば焼きときゅうりといっしょに千切りにして三杯酢であえた鰻(う)ざくでいただいた。
トウモロコシは、近ごろのやたらと大きくて甘ったるいばかりのとはちがう、香りのいい、懐かしい味わいがした。
明日からは湘南海岸近くにある妻の実家で3日ばかり過ごす予定だ。
ともかくも、これが僕のオリンピックイヤーの夏休みである。
さて、ここからは夏休みの後記になるのだけれど、お隣からいただいたトマトはベランダで育てているバジルといっしょにオリーブ油のドレッシングでサラダに、じゃがいもはベーコンといっしょに細切りにしてしゃきしゃきに炒めていただいた。ナスは辛しあえに、みょうがはさらにそうめんや蕎麦の薬味にとちょうほうした。
それと、先月、玉ねぎをいろいろにして食べたことを書いたけれど、もうひとつ紹介したいのがある。
フライパンでそばつゆの素といっしょに玉ねぎに火を通し、ざくざく切ったロースカツを置いて、生卵を流し入れるのだ。言ってみればカツ丼の上側である。トンカツはなにも上等なものでなくていい、スーパーの惣菜コーナーで売ってるようなのでじゅうぶんである。ラードで揚げたぶあつい衣がいいおだしになって、これがうまい。玉ねぎの甘味、ふるふるとした玉子とあいまって絶妙である。なによりかんたんなのがいい。これ、この夏の食卓によく登場した。
