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/ 上野 歩
monthly essay / ueno ayumu

ぴー吉 第83回『讃岐うどんをめぐる冒険(中編)』

挿絵 Yが運転するレンタカーは愛媛から香川へと入った。さて、いよいよ讃岐うどんめぐりのスタートである。
 ガイドブックを眺め、近場からよさそうな店をまわることにする。
 まず1店めは『上戸(じょうと)』。“道の駅とよはま”に面した駐車場のなかにある掘っ立て小屋(失礼!)のような店である。
 店名は店の外観のどこにも見つけることができない。壁面いっぱいにかかげた看板には、でかでかと〔うどん〕という文字だけが躍っている。ノレンには〔西端手打〕とある。香川の西の端という意味らしい。なるほど、ここは愛媛から香川に入ったばかりの、ほんのとば口である。
 元トラック運転手だという(=ガイドブックの記述による)柔和な顔をした店主がカウンターの向こうでうどんを打っている。
 190エンのうどん〈小〉の丼を受け取り、カウンター上にある刻みねぎと天かすを好みでかけ、店の外に置かれた長椅子にすわってうどんをすする。
 かなりコシが強い。甘めの薄口のかけ汁に、朝食べた刺身定食の白味噌汁と同じく“西”を感じた。レモンスライスが1片のっているのだが、これが不思議とじゃまにならない。
 注文してから食べ終えるまでものの3分で僕の讃岐うどん初体験は終了した。
 で、感想を言うと、かなりうまかった。そして、もっと食べたい!
「おい、つぎ行くぞ」
 とYが言った。

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