Yが運転するレンタカーは愛媛から香川へと入った。さて、いよいよ讃岐うどんめぐりのスタートである。
ガイドブックを眺め、近場からよさそうな店をまわることにする。
まず1店めは『上戸(じょうと)』。“道の駅とよはま”に面した駐車場のなかにある掘っ立て小屋(失礼!)のような店である。
店名は店の外観のどこにも見つけることができない。壁面いっぱいにかかげた看板には、でかでかと〔うどん〕という文字だけが躍っている。ノレンには〔西端手打〕とある。香川の西の端という意味らしい。なるほど、ここは愛媛から香川に入ったばかりの、ほんのとば口である。
元トラック運転手だという(=ガイドブックの記述による)柔和な顔をした店主がカウンターの向こうでうどんを打っている。
190エンのうどん〈小〉の丼を受け取り、カウンター上にある刻みねぎと天かすを好みでかけ、店の外に置かれた長椅子にすわってうどんをすする。
かなりコシが強い。甘めの薄口のかけ汁に、朝食べた刺身定食の白味噌汁と同じく“西”を感じた。レモンスライスが1片のっているのだが、これが不思議とじゃまにならない。
注文してから食べ終えるまでものの3分で僕の讃岐うどん初体験は終了した。
で、感想を言うと、かなりうまかった。そして、もっと食べたい!
「おい、つぎ行くぞ」
とYが言った。