薄く雲が覆った水色の冬空でトビがゆっくりと円を描いている。僕はそれを登戸(のぼりと)駅のホームから見上げていた。
専修大学で受け持っている今期最後の講義を終え、教職員用のバスに乗って小田急線の向ヶ丘遊園の駅まできた。そこから1駅歩いて、登戸駅からJR南武線に乗る。
かつて僕が学生だったころ、南武線の通学者は南武族(差別的な表現にならなければよいが……)と呼ばれていた。
車窓から眺める沿線の風景はのどかな住宅地だが、そこにナシ畑が多く点在しているのが特徴的だ。それにしてもよく揺れる電車である(差別的な表現にならなければよいが……)。
分倍河原(ぶばいがわら)で京王線の準特急に乗りかえて高幡不動へ。きょうは、厄除けのほのほうちわを納めにきたのである。