ことしのGWはどこにも出かけなかった。そのかわりに、好きなものを思いきり食べて過ごすことにした。
で、まずはお鮨屋に行く。
たいそうなお店ではない。近所にあるざっかけない感じの鮨屋である。
夕方、ふらっと入って、カウンターにすわりビールを頼む。お腹がすいていたので、お凌(しの)ぎに、穴子といかげそを握ってもらう。
「いかげそは、甘いのつける?」
と職人さんにきかれる。この心づかいが嬉しい。
煮つめたたれ、ツメ(煮つめの略)を表面に塗るかどうか、きいているわけだ。穴子もそうだけれど、まずはツメを塗ったこの2種をつまみにビールを飲もうと思ったのだ。
あとはお酒にして、さば、あじ、にしん、こはだといった青魚、光りものを中心に握ってもらう。高いネタはあまり食べない。べつにけちっているわけではなくて(いや、それもあるかもしれないけど……)青ものが好きなのだ。
値の張るものでかならず頼むのは大トロの炙りである。これを、どのタイミングで頼むかは、鮨を食べるなかでの句読点である。