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ぴー吉 上野 歩 / イ  第91回『岡山旅日記』・・・P2

挿絵 カーナビがついているとはいえ、知らない町の道である。アッコさんは、多少迷ったが、なんとか車を高速に乗り入れることができた。
 ナビゲーターのN子さんは、ペーパーとはいえ免許取得者だから、隣でなにかと腐心していたが、後部座席にいる☆子さんと僕は、すっかりアナタ任せをきめこんでいた。
 山間を切り裂いた素晴らしい高速道路だが、それにしてもほかにあまり走っている車の姿がない。猪瀬直樹氏が怒りそうな道路である。
 陽が沈むと、暗くなった道にはもはや対向車も、追走する車も完全になくなった。
 高速を出て、山道に入ると、さすがにすこしどきどきした。ヘッドライトに浮かぶ道はなんとも細くて頼りない。無舗装の道をどんどん進んでいき、どこかの工場の資材置き場に入っちゃって引き返したりもした。
 山道を抜け出すと明るい温泉町になり、すこしほっとする。
 やがて、車は今夜宿泊する旅館のまえに。
 なかなか到着しない僕らを、若女将が心配して待っていてくれた。
 フロントマンが、アッコさんのかわりに車をバックで駐車場に入れてくれた。
 取材相手の方に紹介され、ホテル内のお食事処で会席料理をいただく。
 取材相手は地元企業の社長である。朝になってカメラマンが到着し、本格的なインタビューは明日行なう。今夜は飲んで食べてをともにして、リラックスしようというわけだ。
 すっきりと甘い地酒がうまい。
 席上、N子さんが高校時代ソフトボールの選手(セカンド)だったことが、☆子さんは器械体操の選手だったことを知る。なんと、体育会系の編集部ではないか。
 食事のあと、近くのスナックで飲んで、宿にもどったのは1時過ぎだった。
 時間外だったけれど、フロントのかたの特別のはからいで、露天風呂に浸かる。
 ヒノキの湯船から、かけ流しの温泉があふれ、どお、どお、と音をたてる。お湯の音のほかには、カジカガエルの声が聞こえるだけである。
 眼のまえの黒く切り立った山影が迫ってくるようだった。

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