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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第104回『食卓日記(8)〜大船の洞窟とウォレスとグルミット展の巻〜』・・・P2

挿絵*月*日
 お中元に、製造後3日以内という工場直送のビールをいただく。さっそく飲み頃に冷やして、空が明るいうちから早めの晩酌をはじめる。
 ウナギとシシトウの炒めものを肴にぐっとやった新鮮ビールは、まろやかな味わいだった。
 炒めものには、ウナギの蒲焼きの端のほうをつかっている。真んなかの肉厚のところは、ミニ蒲焼きとして食卓に上っているのがうれしい。
 シシトウの歯ごたえとほのかな苦味がすがすがしい。と、夏を感じていたら、先祖がえりしたのがあって、これが辛かった。
 肴はほかに群馬の農家から取り寄せている甘い玉ネギのスライス。水にさらさないのが、この玉ネギの食べ方だ。海草サラダとあわせて、酢醤油であえ、カツオ節をかけている。
 途中から焼酎のロックにする。ショウガで炊いたご飯に大根の葉とナスの塩もみをまぜたのを1膳食べて、お酒の締めくくりにするつもりだったが、これもいい肴になって焼酎がはかどってしまった。
 ことしの夏もようやく暑くなってきた。

*月*日
 きのうから湘南の辻堂海岸近くにある妻の実家に滞在している。
 きょうは、愛読している西岸良平氏の漫画『鎌倉ものがたり』で知って以来、いちど訪ねてみたいと思っていた田谷(たや)の洞窟へ。
 入道雲の下、大船駅からバスに乗ること数分、その名も「洞窟前」という停留所で下車する。
 真言宗定泉寺内にある、正しくは田谷山瑜伽(ゆが)洞という。
 受付で拝観料400エンを払うと蝋燭(ろうそく)を渡される。それを年季の入った蝋台に立て、いざ、と境内を進むと、山肌にぽっかりとその入り口はあいていた。そのあまりのナチュラルなたたずまいに一瞬躊躇するが、ままよと突入する。
 なかは別世界だった。炎天下の外とは打って変わってひんやりと涼しい、というより息が白くなるほどである。古墳時代の横穴を、鎌倉時代、修行僧たちがノミで掘り広げたものだという。闇の奥から吹いてくる風に蝋燭の火を消されそうになりながらおずおずと前進する。壁面には、狛犬や龍、仏像などが刻まれていて、その影が灯明に揺れる。
 洞窟は、予想以上に奥深く長かった。高低差のある細い通路を抜けると、天井がドーム型になっている小部屋に出る。そこにも十二支やコウモリのレリーフがある。こうした部屋が洞窟内にいくつかあり、なかには地下水が湧き出て、それを患部にあてると、よくなるというご利益スポットもあった。
 けっきょく一周するのに30分近くを要した。横溝正史『八つ墓村』的雰囲気を堪能して妻の実家に帰還。午後はすごい雷雨になった。
 雨上がりの庭を眺めつつ、夕食は、枝豆とソーセージでビール。湯引きしたハモ、マグロの炙り、焼いたアカザエビで冷酒。締めは炙ったハモのアラのだしでつくった雑炊。
 翌日、茅ヶ崎駅から相模線に乗って2駅めの香川というところにある知り合いの整体師のところに行って、座骨神経痛後のメンテナンス&からだのあちこちのチェックをしてもらう。
 ふたたび妻の実家に戻り、この日の夕食はラムのステーキに、魚介たっぷりのパエリャでちょっといい赤ワインを飲む。

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