さて、『人生のボーナス』という表題でもって書きはじめた文章だが、もちろんジェットボート体験がそれではない。
僕は“人物”が運転するジェットボートにも乗ったけれど、自家用車の真っ白いメルセデス・ベンツにも乗せてもらい、琵琶湖まできた。
途中、フロントガラスの向こうに大きな虹が架かるのを見た。
すぐ眼のまえの山裾から、まるで生えるように伸びたごん太い虹――“人物”はそれを、「虹の生え際」と呼んでいた――が、琵琶湖を跨ぐように弧を描いている。
あの虹を眺められたこと。それは人生のボーナスといえたかもしれない。
取材後に大阪キタの高層ビルにある会員制のイタリアンレストランに案内してもらい、ジェノベーゼソースで食べる軽く湯通ししたモミジダイや、蒸した聖護院カブラとカキなど、関西とイタリアの融合とでもいった料理を味わう。
メインの鹿肉のステーキを堪能したのち、シガーバーで葉巻を味わいつつアイリッシュウィスキーを啜る。こんな、めったにない豪華な夜も、人生のボーナスということになるのかもしれない。
