中日ドラゴンズが日本一になった翌日、僕は名古屋城にいて、澄みわたった空の下で輝く天守閣の金のしゃちほこを見上げていた。
相変わらず名古屋にはお仕事(取材)できている。
名古屋城の内堀には水がなくて、そこでは鹿の親子がのんびりと下草を食んでいた。
そういえば前日、札幌の中心地のマンションにエゾシカが迷い込み、捕獲された後に死亡したというニュースを見た。かわいそうな話である。まったくシカもたいへんである。住みにくい世のなかになったものである。
しかし、ここのシカは、「名古屋城の番人」なのだと、今回の取材で会ったTさんが言った。
名古屋は何度か訪れているが、名古屋城をこんなに間近に見るのははじめてである。
第80回『名古屋の喫茶店と群馬の玉ねぎ』で書いたのだけれど、碧南を訪れる途中、クルマの窓から眺めた名古屋城が、僕については最接近であった。その時の印象は、「ずいぶんエレガントなお城だな」だった。
そうして今回、眼の当たりにした名古屋城は、「ずいぶんと大きいんだな」である。