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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第117回『西洋館のある風景』・・・P3

挿絵  昭和初期に建てられた洋館で食事をする機会を得た。
 小笠原伯爵邸。
 礼儀作法の代名詞となっている小笠原家の邸宅である。
 東京都の持ちものだが、廃屋同然だったのが修復を条件に貸し出されたようだ。なかなか予約がとれない人気レストランである。
 スパニッシュ様式の建物で創作スペイン料理を堪能する。
 当日のランチコースのメニューは以下のごとし。

  • アペリティーヴォ
  • ピンチョ・モルーノ
  • 赤海老のブランチャとブランダーダ
  • やがらと柿のサラダキャビア添え
  • タイムのスープ
  • 低温調理された的鯛とチャンケテのフリートス
       ガリシア風アハーダソースを添えたレモン風味のピルピル
  • イベリコ豚の炭火焼きとどんぐりのピューレ
       りんごのコンポートを詰めたピキージョピーマン
  • ペルセベス貝とサフランのアロス
  • バナナを使っていないバナナのアイス
  • トリハ

  •  お酒はシェリーと、スペインワインの赤、白をグラスで両方味わった。ワインは大きなグラスにたっぷり出てきて大満足である。

     食後は、邸内をガイド付きで案内してくれる。
     パティオを抜け、石段を上がって空中庭園に出、パーゴラを見上げる。
     中庭にまわって、西洋建築の写真集で見たことのある憧れのシガールームの外壁を眺めた。壁は、色鮮やかなタイルの花、鳥、太陽といったモチーフで飾られている。
     ついに見ることができたんだ。ついに。

    *     *     *

     衛星放送で古い松竹映画『下町の太陽』を観ることがあった。
     主人公の倍章千恵子が荒川駅の横にある階段を下りて行くシーンがあって、例のあの建物が映るかなと期待したのだけれど、カメラはすっとパンしてしまった。

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