昭和初期に建てられた洋館で食事をする機会を得た。
小笠原伯爵邸。
礼儀作法の代名詞となっている小笠原家の邸宅である。
東京都の持ちものだが、廃屋同然だったのが修復を条件に貸し出されたようだ。なかなか予約がとれない人気レストランである。
スパニッシュ様式の建物で創作スペイン料理を堪能する。
当日のランチコースのメニューは以下のごとし。
ガリシア風アハーダソースを添えたレモン風味のピルピル
りんごのコンポートを詰めたピキージョピーマン
お酒はシェリーと、スペインワインの赤、白をグラスで両方味わった。ワインは大きなグラスにたっぷり出てきて大満足である。
食後は、邸内をガイド付きで案内してくれる。
パティオを抜け、石段を上がって空中庭園に出、パーゴラを見上げる。
中庭にまわって、西洋建築の写真集で見たことのある憧れのシガールームの外壁を眺めた。壁は、色鮮やかなタイルの花、鳥、太陽といったモチーフで飾られている。
ついに見ることができたんだ。ついに。
* * *
衛星放送で古い松竹映画『下町の太陽』を観ることがあった。主人公の倍章千恵子が荒川駅の横にある階段を下りて行くシーンがあって、例のあの建物が映るかなと期待したのだけれど、カメラはすっとパンしてしまった。
