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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第129回 温泉宿での過ごし方・・・P3

挿絵  翌朝は、寝起きのままで部屋に設けられている風呂に入る。
 内風呂のイメージとは異なる、源泉かけ流しの立派なヒノキの半露天風呂である。
 風呂から出ると、シングルモルトを薄くのばした水割りを啜る。これが胃袋を目覚めさせて、さらに朝食をたのしみにさせる。

 朝食後もいっさい外出せず、部屋と風呂の往復で過ごす。
 大浴場を出たところには、常にオケに氷で冷やされたコーヒー牛乳と牛乳があって、自由に飲むことができる。
 大浴場のほうは、11時〜14時のあいだ掃除が入るためにつかえないので内風呂に浸かる。なにしろ1時間に1度くらいの割合で温泉に浴している。

 14時過ぎ、清掃が済んだばかりの大浴場の、きょうの一番風呂に入る。
 温泉は何度入っても、その日はじめて入ったような気がする。しかし、ビールはそういうわけにはいかない。最初の1杯が一番うまい。だから、それを一日のどの部分に持ってこようかと画策するのだが、早くも午前中に缶ビールのプルトップのタブを引いてしまっている。

 露天風呂を取り囲む庭木は、キンモクセイ、富士桜、馬酔木(あせび)で、各々に札がついているのでそれとわかるが、いまはみな冬枯れている。
 澄みきった青い空の高いところでトビが1羽ゆっくりと輪を描いている。
 あごまで湯に浸かっていたら、きのうここにくるのに乗ってきた踊り子が通過する音が聞こえた。

<泊まった宿>
淘心庵 米屋
電話:0557−37−1128
住所:静岡県伊東市鎌田280

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