お品書きを渡され、6千3百エンのコースと、別途お好みで、このお店の名物であるサツマイモを揚げてもらうことにする。サツマイモだけは早めの注文が必要なのだ。後にこれを食べる段になって、なるほどと実感するわけだが……
飲みものはまずビールの中ビンを頼んだ。
そして、いよいよ天ぷらが順番に揚がってくる。
まずはエビの頭である。おなかのもじゃもじゃしたところだけを揚げたのをクモデというらしいが、頭の部分まるごとを揚げたのが出る。
硬い甲皮が上あごに突き刺さったりするようなことがあるが、そんなことにはならない。とがったところが巧妙に取り除かれているのか? いや、そんなはずはないだろう。だって厨房を眺めていたら、胴と切り離されたエビの頭は、まだむにょむにょと動いていた。それほど新鮮なのだ。いつまでも細工しているはずがない。
揚げ方の技術なのだ。こんなに軽く、さっと揚げているようなのに、しっかり、かりっと食べやすく完結しているのだ。
つづいてエビの身の部分がくる。ふっくらと甘い。まわりはからっと揚がっているが、なかは半生とでもいった感じだ。
お酒にしようと思ってお店のひとに言うと、燗か冷酒か? 辛口か普通か? とだけきかれる。地酒の銘柄がたくさん載ったメニューなんかを持ってこないところがいい。
お酒は、あくまで天ぷらの味を支えるもの、という捉え方なのだろう。で、辛口の冷酒を頼む。
