*月*日
日本列島全体がきびしい寒波におおわれた日、コートの襟を立て、マフラーにあごをうずめるようにして帰宅。熱い風呂に浸かって、夕餉はおでん。太いタコの足が入っているのがうれしかった。
湯上りで火照ったからだに冷たいビールがしみる。
箸休めの菜の花のおひたしに、遠く近い春を思う。
翌朝、味がよくしみて、くたくたになった残りのおでんで食べるご飯がまたうまいのだ。
*月*日
休日の昼下がり、ひとり家にいて、ビーフシチューをつくっていた。
先日、衛星放送でなにげなく観た『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』という’90年代の映画で、盲目の退役軍人を演じたアル・パチーノが素晴らしく(この演技でアカデミー主演男優賞受賞)、若き日の姿が観たくなった。で、『ゴッドファーザー』のDVDを眺めながら、牛スネ肉を2時間ほどかけてじっくり煮込む。
ビーフシチューができあがると、いったん冷まして味を落ち着かせるために外出。最寄りの西武池袋線石神井公園が高架駅となり、そのオープン前の見学会が開催されているので、のぞきに行く。
たいそうな人出である。近隣住民に混じって鉄ちゃんの姿(すぐにわかる)も散見される。
エスカレータでホーム上へ。新宿の高層ビル群が見渡せる。朝の早い時間なら秩父の山々も見えるだろう。
希望者は線路上に下りることができるのだが、全長210メートルのホームの端から端まで行列ができている。40分ほど順番待ちするというが、周囲の風景をゆっくり眺めるつもりで並ぶ。
屋根を支える柱が樹木の幹をイメージしているというのは、ホーム上からも望むことができる石神井公園の森がモチーフになっているのだろう。白い鉄骨の幹である。
立派な駅だ。さすが急行停車駅で、エスカレータも階段も広い。しかし、旧駅舎のひなびた味わいも忘れがたい。
西武鉄道のマークがはいった黄色いヘルメットを渡され、いよいよ軌道上へ。白い玉砂利を踏みながらホームの端まで歩き、そこから真っすぐに伸びるレールを眺めていると遙かな思いがした。
帰宅して赤ワインを飲みつつ、自作のビーフシチューを味わう。
ローズマリーの味が立ち過ぎているのは、ブーケガルニにローズマリーを2本つかったからだ。ベランダにある鉢からハサミをつかって摘んだところ、2本切ってしまったのである。もったいないのでつかったが、味は正直だ。
