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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第145回 生地(いくじ)のトラ・・・P2

挿絵  ひと風呂浴び、部屋にもどってビール。窓の外はソメイヨシノの並木だが、5月のいまは葉桜になっている。
 3月に仕事で富山にやってきた時には雪がちらついていた。その際には、日帰りの慌しい旅だったので、こんどはゆっくりしようとこうしてやってきたわけだ。とはいえ1泊なのだが。

 湯上りで火照るので、窓を開けていたらウグイスのよい声が聞こえた。
 ことしは家の近所でもウグイスの声をずいぶんと聞いた。行きつけの理容店でも、きていた客がそんな話をしていた。
 春らしい日がすくなかった東京だが、どんな夏になるのだろう? 去年は涼しい夏だった。8月に広島に行った時、暑くないので拍子抜けしてしまったものだ。暑いのは苦手だが、多少往生してもやはり夏は夏らしくあってほしい。そうして、「ことしの夏は暑かったなあ」と、ほっとする秋を迎えたい。

 温泉宿にきて、湯上りにビールを飲んでいると、いろいろなことを考える。だが、なべてあまりたいしたことではない。
 ともかく温泉はいい、ビールを飲む。夕映えの空を眺める。雲を眺める。

夕食の献立はつぎのごとし

小鉢 ホタルイカの沖漬け
先肴 白エビ、イクラの相盛り
造り 新湊産甘エビとホタルイカ
凌ぎ 富山名産氷見冷やしうどん
焼物 白エビと鰈(かれい)のグリル
強肴 生ホタルイカのしゃぶしゃぶ
相肴 白エビと八ヶ山産野菜のかき揚げ天ぷら
食事 白エビ釜飯
水菓子 メロン、ブドウ二種盛り

 これに加えて富山名物の大ハマグリの土瓶蒸しが出た。これがいい味の出汁だった。

 食後は部屋で、携えてきた350ミリリットル瓶の山崎を、最初はストレートで味わう。
 富山は水がいい。2杯目からは、地下200メートルから汲み上げたという天然ミネラルウオーターで水割りにする。

 東海道新幹線に乗っていると、京都を出てしばらくすると車窓から山崎の蒸留所が見えるのを思い出す。

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