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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第148回 北海道三都ものがたり(前編)〜青函トンネルと映画『海峡』・・・P2

挿絵  白鳥が浅虫温泉を通過する。太宰治が『津軽』のなかで、「ただ汽車の窓からこの温泉町の家々を眺め、さうして貧しい芸術家の小さい勘(かん)でものを言つてゐるだけで、他には何の根拠も無い」としながら、「都会の残杯冷炙(ざんぱいれいしゃ)に宿酔してあれてゐる感じがする」と浅虫温泉を評している。太宰は若き日にこの温泉町で遊んで、よいこと、悪いことがあって、愛憎相半ばする感情があるようである。というよりも、ここで過ごした日々そのものがなにやら照れ臭く、また、久し振りに車窓から眺める風景によそよそしさを感じてすねているのだろう。

 僕は車中で昼飯の駅弁の包みを開く。
 八戸で買い求めた駅弁で、サバとサケのほぐし身、錦糸玉子、イクラなどが敷き詰められたご飯にホタテの照り焼き、赤カブ漬けがのり、さらに中央では、イカ飯がまるごと半身を埋めているという大胆なもので、その名も「イカの素もぐり」(1050エン)である。 
 サバのフレーク飯がうまい。
 蟹田で停車した白鳥の車窓から「蟹田つてのは 風の町だね」という『津軽』の一節を刻んだ大きなボードが見えた。

 特急はいよいよ青函トンネルに突入する。車内アナウンスで、「(函館方面に向かって)左手にちいさな公園が見え、それを過ぎると、間もなく入り口です」と案内がある。とても親切である。
 愛読する書によると、「日本最長のトンネルといえば津軽海峡をくぐる青函トンネルで、全長五万三八五〇メートル、東海道本線なら東京駅から藤沢駅の先、中央本線では東京駅からほぼ高尾駅までの距離にあたる。」(今尾恵介著『線路を楽しむ鉄道学』講談社現代新書1995)とのことである。

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