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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第148回 北海道三都ものがたり(前編)〜青函トンネルと映画『海峡』・・・P3

 青函トンネル工事を描いた『海峡』(’82年)という映画がある。高倉健、吉永小百合共演による東宝創立50周年記念と銘打たれた超大作だが、あまり出来はよくなかった。東映ヤクザ路線のイメージから脱却した70年代後半〜80年代当時、高倉健主演の映画はいずれも質が高く、興行的にも成功していたにもかかわらず、吉永小百合と共演したこの『海峡』と『動乱』(’80年)の2作品だけは、あまり芳しくない。
 自宅から近い(といっても歩いて片道30分ほど)東映大泉撮影所の一角にあるシネコンによく出掛けるのだけれど、ロビーに高倉健と吉永小百合のパネルと(おそらく実物大の)腕の像がある。それを眺めるたびに、この二大スターがかつて共演した2本について思いをはせてしまう。

挿絵

 さて、青函トンネル建設の契機となった大惨事に青函連絡船・洞爺丸の転覆事故があるが、映画『海峡』のなかでも、三浦友和演じる青年が、この海難事故で両親を失い、なおかつ幼かった自身は浜に打ち上げられた母親の腕のなかから救い出されたという設定になっている。三浦青年は、いわば両親のあだ討ちの意味でトンネル工事に参加するわけだ。
 やはり30代の高倉健が刑事役で出演している内田吐夢監督のモノクロ作品『飢餓海峡』(’65年)の発端となる強盗殺人事件も、この洞爺丸事件が題材としてからめられている。
 その洞爺丸を呑み込んだ津軽海峡の海底を、いま白鳥はひた走っている。
 最深部に近づくと真っ暗なトンネルの壁面に青いランプが灯り、それが緑になり、また青いランプが連なる。緑色のランプがまさに最深部ということらしい。
 そういえば車内の温度が下がったような気がする。鼻先に磯の香りも漂ってくるようだ……と思ったら、誰かが広げた弁当のにおいだった。
(つづく)

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