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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第176回『日帰りバスツアー(11)〜キノコ料理と酒豪の客編〜』・・・P3

挿絵  さて、民宿「休み場」での料理は、これでもかというくらいのボリュームであった。ブナハリタケ、ナラタケなど、初めて見るキノコの炒め物が大皿で出て来る。キクラゲとクルミの和え物、ソウメンカボチャと白マイタケの酢の物、大鍋から自分でよそるけんちん汁にもたっぷりとキノコが入っている。鍋の中の里芋、大根、人参も、この宿の畑で収穫したものだという。マイタケご飯のお米もそうだ。
 串焼きのアユは、香ばしい頭までバリバリ食べられる。
 最後に主(あるじ)が打った二八蕎麦を味わう。歯触り、舌触りが素晴らしい。もうお腹がはち切れんばかりである。
 食事した部屋には、たくさんの色紙が飾られていた。どれも遠足や林間学校でここを訪れた生徒たちからの感謝の言葉だ。芸能人のなんかは1枚もない。
 ところで、隣に座った年配男性のツアー客が、キノコ料理を肴に大瓶のビールを2本も飲んでいた。僕もお酒は好きだが、中途半端に飲むとダルくなるので、こうした日帰りツアーの食事では飲まない。
 それにしても、一人で大瓶2本はスゴイ。そう伝えたら、家では、あればあるだけのお酒を飲んでしまうのだという応えが返ってきた。

 次にバスが向かった温泉施設でも、その男性が湯上りに、缶ビールの2本目のロング缶を開けているところを目撃した。僕と目が合うと、テヘヘと笑っていた。
 最後にお土産を買うのに寄った道の駅で、地酒を売っているのをその男性に教えたら、家で飲む用の720ml瓶と、バスの中で飲むためのミニカップを買っていた。
 それにしても感心するのは、この男性がどんなに飲んでもケロリと覚めているところだ。いや、たいしたものである。
 僕ら夫婦は、お土産に山ほどのキノコを買った。

 帰宅した翌日、お土産に買ってきたキノコで鍋にした。ヒラタケは濃い味がある。シイタケは香りがある。エノキは歯応えがある。ナメコはぬめりと喉越しがいい。1個1個味の違うキノコが、しかし、ぶつかり合うことなく、複雑精妙で奥深い世界を土鍋の中でつくり出している。
 バスツアーに研修で参加していた女子添乗員が、最後の挨拶の際に、緊張が解けたのか、感極まって泣き出してしまった。鍋をつつきながらそのことを語り合って、「もらい泣きしちゃったよ」と僕が言ったら、「わたしも」と妻が言った。

<食事した店>
季節を味わう宿 休み場
TEL(025)796−2901
新潟県魚沼市大白川167番地

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