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ぴー吉 上野 歩 / イ 
第198回 夜汽車・・・P3

 自分の客室に戻って寝台に身を横たえる。
 方向を変えて動き出した北斗星は、再び僕が眠りに落ちている間に青函トンネルに入っていたようだ。
 トンネル中央の青と緑のランプには気がつかなかった。
 やがて視界がぱっと明るくなり、そこは北海道だった。赤い腰折れ屋根の牧場ふうの家屋は、岩手や青森でも見えた。それでも、ここは北海道なのだ。言い聞かせるように改めていつもそう思う。
 窓から見える農家の煙突から、朝餉の煙が立ち昇っている。
 夜汽車で過ごす夜は寂しい。旅の始まりであっても寂しい。そして、夜汽車で向かえる朝は感慨深い。寝不足であろうと、なにごとかを成し遂げたような気さえする。
 やがて北斗星は、函館駅で非電化区間の走行に備え、DD51形ディーゼル機関車に付け替えられ、山火事のような朝靄の中へと突き進んで行った。

2016年春の北海道新幹線開業に伴い、JR東日本とJR北海道は、寝台特急「北斗星」を15年度中に廃止する方針を固めた。
(2014年12月5日付の読売新聞の記事より)

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