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ぴー吉 上野 歩 /
第209回 『墨田区吾嬬町発ブラックホール行き』(後編)・・・P2

挿絵

それから、印象的なセリフがありました。冒頭の方ですが、最初、モグちゃんは洋菓子屋に勤めています。そこで工場長が、機械で加工したあとに、さらに職人が手を加える理由をモグちゃんに教えます。「大切なのは手づくりにこだわるってことじゃねえんだ。なにも、人の手が多くかかっていれば、それでいいって問題じゃあねえ。本当のこだわりは味なんだ」というように機械を否定していないんですよね。でも機械だけに頼っていると、仕事が“機械ができることはなにか”という考えに納まってしまう。これはものすごく共感する部分でしたよ。

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上野:イラストレーターの仕事にもつながりますか?

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ふじた:ものすごくつながります。たとえばパソコンで水彩風の絵を描いたりしますが、それってやっぱりフェイクなんですよね。本物の絵具には勝てない。
でもそれは水彩がパソコン画より優れいているってわけじゃなくて、パソコンで描くなら、パソコンって画材を生かすようなものじゃないと意味ないよなって意味で。つまり、こだわりは結果となる味の部分でプロセスじゃない。とか言って、納期が短くて効率だけで考えてしまいがちなんですけどね(笑)。
小説の場合は、原稿用紙に手書きとワープロで違うところはあるんでしょうか?

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上野:電車の中でノートにボールペンで書くことがあります。このほうがテンポよく書けると感じることはありますね。もちろん、家に帰ってパソコンで整理しながら清書することになるわけですが。それと、手書きとパソコンの違いはあると思いますよ。なにしろ、パソコンはローマ字入力。ローマ字で小説を書いてるんですよね。

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ふじた:なるほど。考えた文章をいったんローマ字に変換してるわけですから、なにかワンクッションある感じがしますね。書き進める上でノリが違う感覚ってなんだか分かります。

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